鬱で凡愚なド外道のリハビリraki6104’s blog

日々の雑談を、余裕のある時に、できるだけ(´・ω・`)

唐突に、武術の話2

 ネタはあるのに、ちょっと気分が乗りませんでしたので、前回唐突に武術の話しなどしてみたりしたのですが、こんな話をしたからといって、私自身はけして武術の達人なんかじゃありません。歳相応に腹の出てきた普通のおっさんです。昔、一時期、熱病に浮かされる様にして、まるで気が狂ったようにのめり込んだ事はありますが、結局、その末席を汚して終わってしまっただけの者ですね。私自身のその弱い精神力や貧弱な覚悟では、とてもそれ一つに全てを賭ける事などできるものではありませんでした。

 そんな私でも、あの熱に浮かされたようなころに、テレビで画期的な番組が登場し夢中になった事があります。今では伝説のように語られる旧UWF時代の、その伝説の一翼を担った前田明氏が旗揚げした、あの衛星放送のWOWOWで放映されたRINGSがそうです。あらゆる意味で意欲的なその試合、そして番組造りであり、その後に巻き起こる格闘技ブームを世間に定着させた点で幾重にも評価された団体であり番組だったのですが、私が夢中になったのはその初期の二・三年ぐらいだったと思います。

 その初期においてRINGSは、まだ旧UWF時代同様にルール体系がいまだ固定化しておらず、その開催ごとに現在のルールを観客に説明する黎明期にあり、イベントとしてのショウ的な要素が非常に少なく、当然選手らに過酷なストレスを課したものでした。自然、その試合自体もより選手同士が手加減を一切しない、或いはする余裕のないような白熱するものが多く、あのころの私には非常に面白く、また、ときに勉強になるものが非常に多くありました。

 しかし残念ながら、ある一発の蹴りがその後の格闘技界を大きく変容させてしまいます。世界番長のグレーシー柔術を学んだ、当時若手であった山本選手がその帰国第一戦で対戦した、あの「剃刀キック」で前田明氏をも幾度も苦戦させたディック・フライ選手との試合で、その蹴りは突如として放たれました。そのグレーシー柔術独特の蹴りによって、フライ選手のあの「剃刀キック」を、山本選手は完膚なきまでに封じてしまったのです。色んな意味で、その光景は私にとって衝撃的なもでした。

 その後、RINGSからは、その後間もなくKー1を旗揚げする事になる正道会館はルールの件で揉めて去り、グレーシー柔術は他流派の人間に技を安易に教える事を禁じる旨、門下の道場に厳しく通達しています。RINGSもまた、よりショウ的要素の強い団体へと変貌して行きました。私自身も、その蹴りによって武術のその本質に初めて気付かされ、その後の格闘技番組から興味を失う事となりました。それほど、山本選手の放ったあの蹴りは、当時の格闘技界に衝撃を与えるものでした。

 武術と格闘技が、結局互いには相容れない技術体系である事を、あの時山本選手が放った蹴りは、何よりも雄弁に語っていたわけです。その蹴りがルール上認められては、立ち技の華である蹴りが、格闘技界から完膚なきまでに抹殺されかねない恐れがあったのです。興行として成り立たせる上で、華やかさは重要な要素の一つです。その興行を見る人々は、武術や格闘技に通じた、いわゆる玄人な人々ばかりではありません。その多くは、あまり良く知らない人々である、素人さんの方が世間には圧倒的に多いのがその現状だからです。

 結果として、テレビで広く行われる興行的な試合では、立ち技の華であるハイキックやミドルキック、ローキックさえもを封じてしまう、本来武術の持つその禍々しいまでの凶悪さのその象徴ともいえる、或いは玄人さんだけが喜ぶような多くの素人さんにはわかり難い試合展開は排除される方向で、その後の格闘技番組はルールを確立させて行く事となりました。その方向性は、近年若干緩められて来た感じもしますが、しかしその基本性、普遍性にはいまだやはり変化が見られません。

 考えてみればそれは当然の事で、選手としてもやはり生活があるわけですから、一興行の一試合で万一にも選手生命を失いかねない、或いは数ヶ月から、ときには一生ベットに寝たきりなハイリスクな事態は避けたいでしょうし、何より、武術でいうところの重要な勝利条件である「生きるか死ぬか」がその大前提にある凄惨な試合など、その観客の多くは誰も望みもしませんし、また、国がそんな危険な試合を認めるはずもありません。法治国家であるこの国が、ほんの一部の人々の利益のために、法を曲げてまでそんな危険な行為を許すわけにはいかないのですから当然の事ですね。

 こうして、武術はそのときの流れ、時代の流れに静かに埋没して消えて行くわけなのですが、それでも、そのすばらしい技術体系を垣間見た事のある人間の一人として、その静かな消滅を嘆くのは何も私一人だけではありません。私の個人的なメル友、いわゆるメール友達として山本貴嗣という漫画家の先生がいらっしゃいます。アンテナをご覧になった方にはすでにご存知でしょうが、この方も現在の武術がおかれている現状を憂いている方のお一人です。

 そこで、今回ちょっと宣伝(笑)。

紅壁虎 2 (ヤングジャンプコミックス)

紅壁虎 2 (ヤングジャンプコミックス)

 
紅壁虎 1 (ヤングジャンプコミックス)

紅壁虎 1 (ヤングジャンプコミックス)

 ま、好みが極端に割れる作品ばかりをお描きになる先生なのですが、私の密かな野望として、いつか先生には「本格武術漫画を再び描いていただきたい」と考えているわけで、今回のこの宣伝は、そのささやかなアシスト、といったところです。過去には、一度『セイバー・キャッツ』なる武術漫画を完結されてはいるのですが、その続編あたりを先生に再び、ぜひ描いていただくには、今現在ようやく相応しい場に還って来られて活躍されている、現在のこの作品が売れねば話になりません。

 話としては、近未来の日本のどこか、くそったれな人生で一杯の街で繰り広げられる、さいてーなちんちん野郎でとびっきりくそったれな落ちこぼれ刑事、と自らを卑下する愉快な蛮童玉三郎君と、数百年もの永いときを生き抜いて来た伝説の殺し屋、見目麗しい美獣のような紅壁虎(ホンピーフー)の二人が織り成す、エロスとバイオレンスのハード・アクション巨編(の予定)です。以下続刊。みなさまにおかれましても、ぜひお買い上げのほどよろしく御願いしますm(__)m。っと、いう事で、ではm(__)m。