鬱で凡愚なド外道のリハビリraki6104’s blog

日々の雑談を、余裕のある時に、できるだけ(´・ω・`)

あと一年

 昨晩遅くに発表された、北朝鮮に対するアメリカのテロ指定解除について、ブッシュ政権へのいわゆる「弱腰」との批判が現在世間…日本及びアメリカの世論にも、そしてマスコミ各社にも、共に渦巻いて相乗効果を発揮しているような、そんな状況にありますね。

 私が不思議なのは、ブッシュ政権が、一端はあまりに「弱腰」との世論の批判を受けて問題の核の検証手順を厳格化したにもかかわらず、そして、幾度となく情報をリークすることによって、散々世論の様子をうかがい、まったく同じ非難に再び晒されることを重々承知の上で、なおかつ、ブッシュ政権が今回のテロ指定解除に踏み切ったことです。

 私的には、どう考えてもアメリカの国益には沿わない、または、その帳尻が合ってはいない、というそんな気がしてなりません。表面的に今回の決定を見れば、北朝鮮の数々の瀬戸際戦術にアメリカが結果的には屈し、今後、アメリカにとってもその存在感を増すことになる、同盟国の我が日本国…「拉致問題」を見捨てたことになり、これは、今後のアメリカの世界外交においては大きな足枷ともなるでしょう。

 つまり、今回のこと…その成功体験により、今後、北朝鮮は今まで以上に強硬な姿勢でその瀬戸際戦術をさらに繰り返すこととなるでしょうし、また、共産主義同盟や悪の枢軸国家群は、今回のアメリカの決断を今後の指針の参考として同じ戦術を志向することでしょう。つまり、核兵器の一刻も早い保持と、それを用いた瀬戸際戦術を、何としても生き残るためには目指さん、とすることになります。

 また、民主主義連合諸国は、同盟国たる日本国を見捨ててでもその不完全な核申告とその検証手順に、今回アメリカが、結果として北朝鮮の繰り出す瀬戸際戦術に屈する形で今回のテロ指定解除を行ったことは、結局、いざ有事にはアメリカは当てにはならない、という大きな失望を禁じえないわけで、これは、潜在的核武装…核の無秩序な拡散を招きかねない危険を著しく増すことになります。

 つまり、世界各国は、いずれにしても最終的な自国の安全を確保するためには、互いに、絶対的な抑止効果を発揮する核兵器の保持を目指さずにはいられないことになります。なぜなら、いざというときにはアメリカは当てにならないことを今回アメリカ自身が証明し、そして世界は相変わらず、自分の身は自分で守らねばならない、そんな弱肉強食の世界恐慌という動乱期を今後迎えるからです。

 その上、今後北朝鮮が素直に核計画を放棄することはまずあり得ないわけで、ブッシュ政権は、かつてのクリントン政権が被ったと同じ汚名を再び浴びる上に、さらに、この世界恐慌の危機において一層の支持率の低下をも招く要因を、これで自ら望んで抱え込んでしまったことになります。マスコミは、政権末期の実績造りなどと盛んに言っていますが、私程度にもすぐわかることを、ホワイトハウスの…アメリカの頭脳たちが考えに入れていないとはとても思えません。

 ならば、私的には、ブッシュ政権は、この現在の一時の汚名を被ることにより、それによって、アメリカにとっての非常に大きな国益を得るための何かを成すための布石ではないのか? という思いがどうしても拭えません。このブログですでに書いていることですが、アメリカにとっては、「朝鮮半島有事」とそれに伴う「民主的統一朝鮮国家」の出現は、中国とロシアにとってそれが悪夢であることからも大きな国益と言って良いでしょう。

 現在のアメリカ国内は、長期にわたってのイラク派兵によって厭戦気分が漂っているわけですが、そもそものその切っ掛けは、9.11テロによって世論が怒りに沸騰したことによる、いわゆる「民主主義国は本当に怒って戦争をする」と言われるような、そんな状況下でのことでした。そう考えると、ここでブッシュ政権が泥を被る…世論が「弱腰」と政権を批判し、そしてその支持率をさらに低下させる…と言うことは、次の政権に対してある種の枷を嵌めたに等しいわけです。

 つまり、次の政権に対しては、北朝鮮に対するクリントン、そしてブッシュと同じ「弱腰」の対応は許されない、という枷を、今回故意に世論を沸騰する方向に誘導することによって嵌め込むと同時に、次回…恐らくはそうするでしょうが…にまた、北朝鮮が今回の成功体験から再び約束を違え、そして瀬戸際戦術を取ったときには、「またか(怒)」とアメリカ国内世論が沸騰し、そしてイラク戦争のときのように、世論の怒りが激しく戦争へと政権を後押しするだろう布石を今回打ったのではないでしょうか?

 そう考えると、ストン、と胸に落ちるものがあります。事態がどちらに転ぼうとも、アメリカにとっての損はありません。問題の核計画を、北朝鮮が素直に放棄するならばそれですべてが丸く収まりますし、また、再び約束を違えて瀬戸際戦術を弄せば、今度は、アメリカの国内世論が沸騰して「朝鮮半島有事」を強力に後押しすることとなります。その場合には、先に国境に人民解放軍を展開している中国が、「民主的統一朝鮮国家」の出現を何としても阻止するために金正日政権排除に動くでしょう。

 北朝鮮の核計画放棄のための、その検証に必要とされている期間は約一年と言われています。一年で、いずれにせよ結果を出せるとするならば、ここまで並べて来たアメリカへの不利益も一時的に享受でき得るものでしょう。一年ほどの期間でその結果がでるのならば、それで潜在的核兵器を持とうとしている国々を観察し、そしてその動きによって炙り出せるわけでもありますから、損得勘定としては充分おつりが来ます。

 また、我が日本国においても、「アメリカは頼りにならない」と言う世論から、「自分の身は自分で守る」として防衛費の拡充が成され、そして一年で結果が出るのなら、その間の不利益は充分享受できるものとなるでしょう。また、さらに「拉致は見捨てない」旨をアメリカ側、ブッシュ大統領自らも繰り返していることからも、同盟国たる我が日本国への相当な気遣いが見て取れます。いずれにこの事態や、そして大統領選が転ぼうとも、一年以内には「次は必ず拉致だ」と約束しているのと同義です。

 結局、先の大統領令によって、実際に核の脅威と北朝鮮が認定されている限りは、今回のテロ国家指定から外されても北朝鮮の基本的な立場に特段の変化はありません。かえって、今回の指定解除によって、北朝鮮が取るべき選択肢はさらに限定されている気がします。しかもかの民族は、ただでさえホルホルしやすい民族でもあります。それが今回の成功体験で、さらに成功の果実を得ん、と、さらなる危険な瀬戸際戦術に向かわない方が不自然とも言えます。

 うーん………あえてアメリカが、具体的な言い訳を並べ立てないことからも、恐らくは、長くても一年余りでその結果は出るのではないでしょうか? 私はそんな気がしています。ではm(__)m。